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1900年代の理論「AIDMA」
ソーシャルメディアが定着した現代
ソーシャルメディアという名称が一般的になり、TwitterやLINEなどのサービスを利用している人が増えて、そうしたものを利用することが何ら特別ではない時代になりました。
マーケティングの視点からすれば、こうしたソーシャルメディアの存在を考慮するか否かで、大きく視点が変わります。それを顕著に示すのが、購買行動モデルです。
インターネット、そしてソーシャルメディアの登場によりこの購買行動モデルがどのように変遷したのか、見ていきましょう。
「AIDMA」という購買行動モデル
購買行動モデルとしてもっともメジャーなのは、1920年代にアメリカで提唱された「AIDMA」でしょう。
それぞれAttention(注意)・Interest(興味)・Desire(欲求)・Memory(記憶)・Action(購入)の段階を経るとするものです。
すなわちCMなど広告を見ることで商品・サービスの存在を認知すると共に注意をひかれ、興味があるものとして関心を示し、自分のものにしたいと欲求し、広告をさらに見ることで記憶となり、最終的に購入という行動に至る、という考えです。
AIDMAはもう古い?
現在マーケターの中にはこのAIDMAの理論を「古い」と評する人は少なくありません。
それというのも、AIDMAの理論はインターネットの存在よりずっと前に提唱されたものなので、現代の消費者の行動にあまり即していないとされ、また広告を発信する側からの影響のみを考慮しており消費者からの視点が欠けているというのも一因といわれています。
アメリカではMemoryの「M」を除外した「AIDA」が使われることがあり、また同様にMemoryの部分をConviction(確信)の「C」に置き換えた「AIDCA」が用いられることもあります。
インターネット時代の「AISAS」
次いで注目されるのが、電通により2004年に提唱された「AISAS」という購買行動モデルです。
AIDMAを意識している様子が伺え、最初の2文字「AI」および2つめの「A」はAIDMAと同じ意味です。
それぞれAttention(注意)・Interest(興味)・Search(検索)・Action(購入)・Share(共有)という段階を意味します。
すなわち広告から注意を喚起され興味を感じると、インターネットなどで検索を行い、情報を集めた後に購入し、その体験や情報をSNSなどで共有する、という考えです。
1つめの「S(Search)」と2つめの「S(Share)」が物語っているように、AIDMAと比べるとあきらかにインターネットの存在が反映されています。
またAIDMAでは消費者の実質的行動がAction(購入)のみでしたが、AISASではSearch・Shareという消費者が情報を探して購入・体験した後に共有する主体的な行動が加味されています。
SNS時代の「SIPS」
そしてSNSでの消費者の動向がより強く反映されたモデルが、2011年に電通モダン・コミュニケーション・ラボによって提唱された「SIPS」です。
それぞれSympathize(共感)・Identify(確認)・Participate(参加)・Share & Spread(共有&拡散)という意味合いが込められています。
すなわち企業やブランドに共感し、検索や口コミなどで情報を確認し、アプリを利用したり試供品を使ったりすることで参加し、その情報・体験をSNSなどで共有・拡散する、という考えです(参考ページ:SMMlab)。
AIDMA・AISASと比べると、SIPSでは「購入」に関する項目が見当たらないことがわかります。
厳密には「Participate」の項目に含まれてはいますが、AIDMA・AISASと比べるとそのニュアンスが薄れていることが伺えます。
SIPSでは購入も然ることながら、多くの人に情報を伝えることが注目されています。
これはバイラルマーケティングなどでの「バズ」の概念にとても近しい考え方です。
さいごに:SNS時代では消費者を理解することが大事
AIDMA・AISAS・SIPSという3つの購買行動モデルを見てきましたが、SIPSで反映された消費者の行動を理解した上でAIDMAを見直してみると、いかに一方的であるかが分かるでしょう。
しかしSNSを意識せざるを得ない現代といえども、AIDMAの購買行動モデルが完全に廃れたわけではありません。
消費者の中には、インターネットを利用するよりもやはりテレビや新聞の情報を中心に集めて信用する層がいるからです。
マーケティングを行う際は、こうしたモデルを理解する際のみならず、広聴などの分野でも消費者について理解することが肝要であることが少なくありません。
効果的にマーケティングを行うのであれば、やはりこうした観点は逃せないでしょう。